過重労働のリスクとその対応策
過重労働は、『過労死』のリスクと言われ、2019年 11月末の時点で、時間外・休日労働が月平均80時間を超えてしまうと、いわゆる過労死ライン越えと言われてしまいます。
過重労働の結果、過労死ライン超えとなった社員が、たまたま別の原因で、突然の不幸に遭われた場合などを想定した場合でも、会社として、『過労死ラインで働かせていたが、死因は別にあるため、死亡と業務との直接の関係はない』と主張してみることは可能だと思いますが、それを、第三者に認めてもらうことは難しい情勢になっていることが、容易に予想されます。
つまり、過労死ライン超えで働かせた社員がどういった理由であれ突然死した場合には、労災と認められる可能性があり、損害賠償をする必要が出てくる可能性があるということです。
労働災害を起こした企業は、イメージダウンや、損害賠償など、さまざまなリスクを負うことになります。
これらのリスクを避けるため、企業として、どのような対応が求められるのでしょうか。
① 労働時間の確実な把握。
→ タイムカードや、PC のログイン時間、入退室履歴など、勤務実態を適切に反映した記録を残すようにしましょう。
② 管理監督者へのラインケア教育
→ 過労死ラインを超えてしまうような働き方をしている社員には、健康を優先し時間外をセーブさせるよう管理者から指導してもらうようにしましょう。
本来、時間外労働は管理監督者の指揮命令がなければ、実施してはならないのですから、好き勝手に時間外労働できないような管理・環境を整えていくことが重要です。
③ 時間外労働の実施時間のフィードバック
→ 「今月は、今日までで何時間、時間外労働をしているのだろうか?」このように自身の労働時間を把握していない社員がいるということは、管理者も労働者の時間外状況を把握する時期を逃し、過重労働をさせてしまっているリスクがあります。
全社員に対して、過重労働をなるべく控えるように上層部から指導した上で、それぞれの社員が各自の時間外労働時間をいつでも把握できるような体制を作るようにしましょう。
過重労働面談の役割
今後産業医が果たすべき『過重労働面談』の役割としては、基本となる体調確認(睡眠時間や食欲の有無など)は当然として、時間外労働が多い社員へ時間外削減を目指すように助言指導するだけでなく、必要なら上司や経営陣に対しても積極的に時間外削減へ向けた指導を行う必要があると考えます。
過重労働対策などについても、お困りのことがあれば、当事務所へ気軽にご相談下さい。
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